2017 旭硝子財団 助成研究発表会 要旨集
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向成長の活性化エネルギーの差は一定であった。GeやSi単体と同様に、Si1-xGex全組成域で大粒径化が可能であることが示唆される。活性化エネルギーと同様に、頻度因子もGe組成が増えるにつれて減少した。頻度因子とは、反応分子同士が衝突する頻度を表しており、平均速度に比例して増加する。重い原子ほど平均移動速度が遅く、衝突頻度が小さくなることが予想されるため、今回の傾向は妥当であると考えられる。 得られたSi1-xGex薄膜に対して、EBSD法により結晶性を評価した結果を図4に示す。面直方向(ND)の像から、全ての組成で(111)面に高配向していることが判る。また、面内方向(TD)の像から、全ての組成で50μm以上の大粒径が得られていることが判る。以上、Si1-xGexのAl誘起成長について成長特性を明らかにし、組成ごとに適切な成長温度を選択することにより、当初の目標(10μm)を上回る大粒径化を達成した。SiGe薄膜を絶縁体上に高品質形成する研究は20年以上にわたって行われてきたが、本研究は方位制御と擬似単結晶化に成功した初めての例である。3.今後の展開 2017年度は、当初計画通り、「SiGe光吸収層の分子線エピタキシー(MBE)成長と基礎特性評価」を遂行する。今回形成した大粒径SiGe層をテンプレートとし、Al含有のない高品質な光吸収層をMBE成長する。作製したMBE層の結晶性、電気的特性、光吸収率、少数キャリア寿命、および少数キャリア拡散長を評価し、MBE成長条件にフィードバックする。 旭硝子財団のご支援に厚く御礼申し上げます。4.参考文献[1] K. Toko et al.,APL 101 (2012) 072106.[2]K. Toko et al.,APL 104(2014) 022106.[3]K. Toko et al.,JAP115 (2014) 094301.[4]M. Nakata, K. Tokoet al., Scr. Mater. 122 (2016) 86.5.連絡先〒305-8571 茨城県つくば市天王台1-1-1筑波大学 数理物質系 都甲薫 TEL:029-853-5472E-Mail:toko@bk.tsukuba.ac.jp10111071000/T[K-1]1.41.51.61.7102101100横方向成長速度[μm/h]核発生頻度[cm-3 h-1]1010108109図3. (a) 核発生頻度と(b) 横方向成長速度のアレニウスプロットTDND0.15 (375 oC)0 (400 oC)Ge組成比x (成長温度)100 μm100 μm1 (340 oC)0.6 (350 oC)0.3 (375 oC)100 μm100 μm100 μm100 μm100 μm100 μm100 μm100 μm001101111図4. Al誘起成長Si1-xGexのEBSD像−149−

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